WORKS修理・改装

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『俳諧歳時記 5巻組』|1933年初版 改造社 3546頁|個人蔵

「俳句をしている娘にいずれ譲りたいので、直して欲しい」というご依頼で、80年以上前の歳時記を修理しました。「春」「夏」「秋」「冬」「新年(+索引)」の5巻組で、高岡虚子や武田祐吉などの著名人が選んだ約19,000語もの季語とその解説、俳句や俳諧が多数収録されています。挿絵は全巻を通して、植物学者の牧野富太郎が描いています。季語や俳句を通して現代は失われてしまった文化や風俗、自然を感じることもできます。

索引を含む使用頻度の高い「新年(+索引)」の巻は特に傷んでいたので分冊し、仕上がりは5巻→6巻組となりました。函は新しく作り直して、タイトル部分のみ元のものを使用しています。

お客様が使う季節に合わせて本をお預かりし1年がかりで修理完了。
俳句も紹介します。


夜の雪のしづかに日記始めかな 洛山人
初夢や晴々と亡き母の顔 孤軒
山國の繭の問屋や店おろし 鹿村

初ざくら折りしもけふはよき日哉 芭蕉
だまされて来て誠なり初櫻 千代女
木蓮の窓一杯にゆれにけり 牧也
春寒や指きづつけて職やすみ 暁水
春寒く二ツ残りし鶏卵酒 几菫

星涼し風のまにまにまたたきぬ 月斗
河骨や終にひらかぬ花ざかり 素堂
有りがたき姿拝まん杜若 芭蕉
杜若卍ほろりと開けたり 鳴山
一ぴきに減つてしまひし金魚哉 月斗

夢によく似たる夢かな墓参 嵐雪
傘(からかさ)も片手に泣くや墓参 支考
家は皆杖に白髪の墓参 芭蕉
七夕に出でて兎も野を駆けれ 酒堂
蛇入るなそこは邪見の人の穴 一茶

大阪の風邪を貰うて戻りけり 其士
大根で叩きあうたる子供哉 一茶
納豆の絲引張りて遊びけり 同
てらてらと月下の豆腐氷りけり 美波子
水仙のはげしき雨に堪へてあり 綾女
旅客機にのりてボーナスつかひけり 都波